2017秋 北アルプス(裏劔トレッキング)

このルートを通しで歩けるのは1年のうち1ヶ月程度と極端に短い。9月中旬にならなければ下の廊下が開通せず10月中旬には劒沢二股の吊り橋が撤去されるからだ。過去2年は同行予定者と調整が難航し断念に追い込まれた。もう待てない。今年は単独想定、余程の荒天でない限り行く覚悟だったがAsとSkの参加で一昨年の「劔岳・源次郎尾根」メンバー。Tと歩いた最高の山を偲ぶ旅ともなり何倍も豊かで楽しいものになった。

①日時 2017.10.7(金)~9(月)
②行先 立山室堂~仙人池~阿曽原~宇奈月
③メンバー As、Sk、Ys
④行程 
【10.7】室堂(7:50)→劔御前小屋(10:00)→劒沢キャンプ場(11:00)→真砂沢ロッジ(13:20)→二股(14:30)→仙人池ヒュッテ(16:00)小屋泊
【10.8】仙人池ヒュッテ(7:45)→仙人温泉小屋(9:10)→仙人谷ダム(11:20)→阿曽原温泉(12:05)テント泊
【10.9】阿曽原温泉(4:40)→大太鼓(7:50)→欅平(9:30)→立山駅~帰宅
*タイムはAsのもの。Skと私は大幅に遅れ(それでも一般コースタイムより速いのだが)各地で30分前後待って貰った。As単独ならば2時間以上早く目的地に着いた筈だが申し訳なく思うよりあまりの俊足に呆れる。テント一式や共同火器も担いで貰ってるのに。
⑤行動概況
劒沢雪渓
7日の天気予報は二転三転し結局一日中雨、室堂ターミナルを出れば人影まばらで歩きやすい。強風ものともせず劔御前小屋へ上がり劒沢へ。「帰ってきた。二年ぶり」とAsが呟く。Tと四人で泊まったここは我らが聖地、Skと「この岩にテントを干したねー」など確かめ合う。山岳警備隊基地から下って行くと雨なのに雲が切れ光が差し込み始めた。懐かしい源次郎尾根を照らしだす。八つ峰も見える。Tが見せてくれているのだと全員が思った。
劔岳源次郎尾根に光が
暫く岩ゴロの夏道で後半雪渓に乗る。だんだん切れてゆく雄大な(危険な)雪渓に小滝が遥か上から流れ込む。恐ろしくスケールの大きい眺めに驚嘆しつつ先を急ぐ。急ぎつつも岩のトーチカみたいな真砂沢ロッジを見れば中を覗かずにはいられない。正しい時間に仙人池ヒュッテに着けるか微妙…ここはAsに先に行って貰おう。雨と汗で全身びっしょり、乾いている所が無くなった。最後の急登はじつに辛く止まれば身体が冷えるから牛歩でも進む。到着の遅い私を心配しヒュッテの戸口で仁王立ちのAsが見えた瞬間を何と言えばいいか。小屋のお兄さんがすぐ風呂に入るよう勧めてくれた。極楽!超混雑予定のヒュッテは荒天のため空いて快適、夕食を囲む頃はハードな一日も私の疲労困憊も酒の肴だ。
二股の釣り橋
雨は夜更けに上がり8日朝は仙人池の畔で過ごした。空は晴れ渡り水面に映る裏劔も朝日を受け輝きを増してゆく。なんとAsはTの写真を持参していた。小屋番さんに頼んでTと四人の記念撮影の後行動開始。熱湯が噴出する仙人湯源泉から登って降りたら仙人ダム、水は碧く澄み底まで見える。ルートはダム施設の中を通り、入り組む通路に熱風が吹き出したり鉄道が走っていたり不思議な遊園地のよう。先行しテン場申し込みも設営も済ませたAsが迎えに来てくれた。阿曽原温泉の親父さんは想像通りの厳しく温かい風貌、許可を頂き軒先の鐘を打ち鳴らしビールで乾杯!苦行の昨日と一転、今日は昼間からのんびり露天風呂三昧なのだ。テン場はゆっくりと混み始め、夕暮れにはびっしり隙間なく、夜になおも増えてゆく…。

夢に見た仙人池

未明に起き見上げると満点の星。ヘッドランプで歩き始めるとすぐにAsが見えなくなった。切り立つ絶壁の水平歩道は意外に幅広く歩きやすい。岩をくりぬいた狭い箇所や瀧の裏を穿つトンネルが変化を加え愉しい。奥鐘山の大岩壁を眺めているとAsが「〇〇山の次のステップとして…」と呟くものだからSkは「え!あれ登るの?」と目を剥いていた。

欅平へ最後の下りが滑りやすく案外な核心部?うたた寝しながら電車を乗り継ぎ旅が終わった。
記録寄稿:Ys

水平歩道

4人で記念撮影

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