2016冬 大山 (一の沢)

年々,会員が増え,休日や趣向の合う同士で山に向かうことが増えている。それは楽しいし,個人のレベルアップになるのは言うまでもない。だが,大勢でワイワイ言いながら登るのが,私は好きだ。YCCのメンバーに,普段思っていても感謝の言葉に表すことは難しい。が,そんな時,山屋はとても便利だ。良い山を一緒にすれば,全てが分かり合える。なんと言う清々しいコミュニケーションだろうか。9時間に及ぶ一の沢ラッセルバリエーション。 雪焼けしたメンバーの顔を日没寸前の夕陽が照らしていた。リーダーとして学ぶべきこともあり,パーフェクトとは言い難いが,一緒に良い山をしてくださったメンバーに感謝する。
一ノ沢を上がる

    日時:2016.12.18()
     行先:大山(一の沢)
    メンバー:As,Y,Mt,E,I,St,Ys,Ym,Yu,Sk,Ak,Mk
    行動記録:桝水P(8:00)→一の沢入り口(9:00)→一の沢堰堤(10:00)→一の沢尾根(11:00)→弥山山頂(13:50)→山頂小屋出発(14:22)→正面を経由し桝水P下山(17:00)
    行動概況:
山頂台地に到着
SLAsを先導に重雪を進んで行く。環状道路をショートカットし入り口に到着する。積雪は70cmくらいだ。林道を少し上がり一の沢に降りる。ここから眺める南壁は美しい。Ysとここでビバークする話をした。Ysの所作は深く学ぶべきである。経験から実証された身のこなし,一つひとつの装備品にまで,厳しい山に向き合う楽しさが織り込まれている。Yもそうだが,あの深雪を顔色変えずに歩くためには,その背景の奥深さを尋ねずにはいられない。一の沢堰堤からスイッチバックを切って尾根に上がる。積雪量と雪質,前日の天候、メンバーの装備を鑑みても計画を変更する要素がない。藪の中でのスイッチバックは不可能。滑る急斜面を藪漕で直登し,メンバーの体力を低下させるリスクを背負う必要はない。心もとないリーダーを信頼し,ついてきてくれたメンバーに感謝する。あとは,果てしないラッセルの連続である。タケノコ岩までは,苦戦を強いられた。そこからは,雪が締まり快適になる。が,メンバーの体力消耗に差が表れ隊列が長く伸びる。先導は経験の少ないメンバー。一の沢に危険箇所はなく,そのまま抜ければよいと思っていたが,上部はクラストしスノーシューの爪が効かなかったようだ。先頭が2m滑ってそこで止まった。アイゼン,ハーネスを装着しピッケルを持って滑ったメンバーに駆け寄り,ザックからピッケルを外して渡す。ストックをザックにつけてメンバーをブーリンでアンザイレンし,まず自分が上がる。ビレイしながらそのまま上がれるかを確認し,無理ならスノーシューをその場で外すよう指示する。その後,キックをさせ,ゴボウで引き揚げる。そうした行動があれば,メンバー全員が拍手で讃えたであろう。先ずはメンバーの保護が最優先だ。大隊行動はそれだけで危険である。常に神経を張り,スキルを発揮する機会を求める。そういう行動を習慣化させることが大切だと思う。学びを求める謙虚さを持って,どういう行動をするべきだったかを,振り返ってもらいたい。
山頂碑にて
滑ったメンバーは以前から危うさがあった。下山し,ラーメンをすすりながら彼の話を聞いた。今回の出来事で目が覚めたように深く反省をしていた。しょっぱい汗を舐め,苦い雪を噛み,一人一人から信頼を勝ち取り,彼は成長していくだろう。また,メンバーも,自分のことに照らしながら,振り返り次の山に活かしていただきたい。そうやって,一人の成長の集合体が,YCCをより強くしていければと思う。今回は,たくさんのメンバーが参加してくれ,とても嬉しかった。こういう山行を増やして,みんなで,YCCを楽しんでいきたい。

記録寄稿:Mk

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