2017夏 北アルプス(槍ヶ岳 表銀座・東鎌尾根縦走)

Asから「表銀座を縦走するのですが、一緒にいかがですか?」との誘いを受けた。ついに私も接待される立場になったかと思いつつ、行程を聞いてみると、40キロ近くをほぼ一泊二日で歩く弾丸登山であり、その上食事もフリーズドライ主体と言う。朝夕の食事を充実させたいという個人的願望から、私が食事の担当を買って出たため逆に接待役になってしまう。
道中いろいろあったが、それにしても長かった。

①日時
2017.8.11(金)~13(日)

②行き先
槍ヶ岳(表銀座・東鎌尾根ルート)

③メンバー
Mt,As,Sk

④行程
【8/11】
(2:30)さわんど駐車場→(4:00)穂高駐車場(4:30)→中房温泉登山口(5:00)→(8:00)合戦小屋→(9:20)燕山荘(9:45)→(13:00)大天井ヒュッテ→(15:30)赤岩岳→(16:30)ヒュッテ西岳
【8/12】
西岳ヒュッテ(5:00)→(6:15)水俣乗越→(8:20)ヒュッテ大槍→(9:10)槍ヶ岳山荘→(9:40)槍ヶ岳→(10:00)槍ヶ岳山荘(10:30)→(12:50)大曲→(13:20)ロッジ槍沢(14:10)→(16:00)横尾→(17:00)徳沢
【8/13】
徳沢(6:00)→(7:00)明神→(7:50)上高地バスターミナル(9:00)→(9:25)さわんど駐車場


⑤行動概況
【8/11】
車2台で向かったので、1台をさわんど駐車場にデポして、もう1台で穂高駅へ移動し、穂高駐車場に停める。連休の前夜ということからなのか、さわんど駐車場はガラガラであり、満車に近い状態を予想していたAsは拍子抜けしていた。穂高駐車場も空きを容易に見つけることができ、難なく停めることができた。穂高駐車場ではタクシードライバーが登山客に声をかけて手際よく乗り合わせの調整を行っており、我々も単独登山者と一緒に向かう(料金は2,500円/人)。
中房温泉登山口に着き、身支度を整えていざ出発。曇り模様で気温があまり上がらないうえに登りはじめは樹林帯であることから、暑さは気にならない。ただ、寝不足が祟ったのか第三ベンチあたりから私だけペースが急激に落ちる。息が上がる中、何とか合戦小屋に到着し休憩するものの、依然としてペースは上がらず、やっとの思いで燕山荘にたどり着く。しかも、一面ガスで景色は全く楽しめないため、気分も盛り上がらない(そもそもそんな余裕もなかったが・・・)。
燕山荘からは稜線歩きとなるため、本来なら北アルプスの山並みを眺めながら歩くという縦走の醍醐味を味わえるはずだが、ガスはなかなか取れない。
ただ、このあたりでようやく体調が回復し普段通りに歩けるようになる。
蛙岩を過ぎて少し歩くとガスが晴れ、大小の山を見渡すことができたため、「北アルプスに来たな!」とようやく感じることができた。
大頭ノ下りや喜作レリーフを通り過ぎてしばらく歩き大天井岳下の分岐に着くも、今回は大天井岳には向かわず、ヒュッテへ直接向かうためトラバースする。さらに50分程度歩いてようやく大天井ヒュッテに到着する。
ここからは体力に余裕があるAsがテン場を確保するために先に西岳ヒュッテへ向かい、私とSkが遅れて歩く。
びっくり平から先のいわゆる喜作新道は小ピークが登っては現れの繰り返しであり、疲れが溜まっていたことと「まだか、まだか」という逸る気持ちが交錯し精神的なキツさを感じた。右手に槍ヶ岳(北鎌尾根)が見えるものの、穂先だけはガスに包まれて姿を現さない。
ようやく赤岩岳に到着するも、西岳ヒュッテに向かう途中でサルの群れに遭遇する。Skと「目を合わさない方が良い」と話しながら歩いて通り抜ける。
稜線歩きが終わり、ガスの中、西岳の中腹辺りをトラバースしながら歩き進むがいつまで経っても小屋が現れない。「長いなぁ」と思い歩くとようやく遠くにテントが現れる。「あともう少しだ」と歩き、着くとAsがテントの中で横になって待っていた。我々を合わせて10張り程度のテントが張られていた。
やっと夕食の時間。メニューはアサリのカルボナーラとレタスとミニトマトのサラダ、そしてフルーツポンチである。
ひと際目立つ槍ヶ岳
山で食べる生野菜とフルーツは最高だった。Asは「うまいうまい」と言いながらレタスをたくさん食べていた。食事を終えて西の方を見ると、ガスが取れ、夕日が槍ヶ岳を照らし出している。皆がチャンスと思い、カメラのシャッターを押す。
この時点で夜と翌日の天気が心配だったことから、朝起きた時点で雨が降っていれば、アタックは止めて下山すると決める。おそらく他の登山者も同じようなことを考えていたと思われ、テン場全体に緊張感があった。

【8/12】
3時に起床すると、天候は曇り。夜間の降雨もほとんどなかったようであったため、槍ヶ岳へアタックすることを決めて朝食を取る。メニューはガーリックトーストとベーコンエッグとココア。食事に力を入れた今回の2つ目のポイントである「卵」。普通と言われればそれまでだが、はじめて携行した。さらに大山ハムのブロックベーコンが逸品であり、標高2,700m付近で食べるベーコンエッグは格別であった。
5時に出発し、まずは水俣乗越まで下る。1時間ちょっとで到着する。ここからが東鎌尾根となる。ここまでは普段通りに歩けていたが、ここからが初日に続いて2人に後れを取り始める。よくわからないが、とにかく息が上がり少し歩いては足が止まる始末。窓から先はあまりの苦しさに心の中で「もう無理」と諦めモードで歩く。
ヒュッテ大槍に着いたところでAsに「無理だ。殺生ヒュッテ経由で槍沢に降りるわ」と申し出る。少し休憩して小屋を出発するも2人との距離は開く一方である。とりあえず分岐まで行くと、すでに2人は槍に向かって歩いており、「あいつら、待ってねーのかよ。最終確認を取っていないので、勝手に降りられない。とりあえず槍ヶ岳山荘まで行こう」と苦しいなかを歩きはじめる。
見上げると槍の穂先がそびえ立っている。それに徐々に迫るため、多くの人はここまで来ると「槍に来たなぁ」と感慨深くなるのだろうが、私は相変わらず「もう無理」しか言葉が出てこない。残り300mぐらいのところで、2人が槍ヶ岳山荘に到着したのを確認する。「穂先は2人だけで行ってもらおう」と考えながら歩いているとAsが迎えに来て、「ザックを貸してください」と手を差し伸べてきた。Skを先に穂先に行かせたようであり、ヘルプに来てくれたようだ(もはや情けない)。ザックを背負ってもらい少し歩いて槍ヶ岳山荘に着く。穂先に行くことを促され、デジカメを腰にぶら下げ穂先を見上げるとガスに覆われ始めている。多少の渋滞はあったが、15分程度で穂先に上がる。狭い山頂は多くの登山者がいたため一層狭く感じられるうえ、残念ながら視界不良で周りの山は見えないため、祠を囲んだ記念写真を数枚撮って下山する。
槍ヶ岳山荘で休憩した後、槍沢を下る。この槍沢、下るのは良いが、登りたくはないと思った。歩きやすい分、標高を稼げないため、延々と続くように感じてしまい、体力よりも気持ちがやられてしまうような気がする。
穂先に向かう登山者
Asは淡々と歩いて先を行ってしまい、Skと私はゆっくり下る。天狗原分岐を過ぎ、大岩を少し下ったところでわずかの間は雪渓を歩いて涼しさを感じる。さらに大曲、ババ平を経由して3時間近く歩き槍沢ロッジに着くと、我々より1時間程度早く着いていたAsは待ちくたびれていた。本来なら、この日は小梨平でテントを張る計画だったが、遅い2人がこのままのペースで歩くと到着が遅くなるため、徳沢で宿泊することに切り替える。
さらに2時間以上歩いて徳沢に着く。テントサイトはキャンプで訪れたと思われる家族連れや下山した登山者など多様な人たちで賑わっており、和やかな雰囲気であった。

【8/13】
4時過ぎに起床して朝食を取って撤収する。
天候も良く、河童橋は相変わらず登山客や観光客でごった返していた。
タクシーでさわんど駐車場に下りるとすべての駐車場が満車状態であり、来たときは全く違う光景になっていた。最後はタクシーの運転手に勧められた「竜島温泉 せせらぎの湯」で汗を流して帰途についた。


⑥トピックス
・スタミナ(体力)よりもコンディション(体調)の方が重要だと身に染みて分かった。
・調子が悪かった時は下を向いて歩いていたため景色やルートの記憶がほとんど残っていない。
・Asは暑がりのようであり、寒がりの私とは意見が合わなかった。
・槍ヶ岳山荘で「どん兵衛うどん」を頼んだのに「天ぷらそば」が出てきた。しかし、それに気づかず、そのままお湯を少し注いだところでようやく気づいたが時すでに遅しで、やむなく食べた。
・槍沢の下りでSkは支流数ヶ所でそれぞれ湧水を口に含みテイスティングした結果「上流の方がおいしい」と言っていた。

記録寄稿:Mt



2 件のコメント :

  1. Mtはとうとう料理に目覚めてしまったのですね。。。
    負けるわけにはいかんなー。

    弾丸山行お疲れ様でした。

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  2. 久々に覗いてみたら…やってますね!(^^)!弾丸登山その意気や好。
    ワタクシもかねて念願の立山~薬師岳、今日からの予定でしたが天候により25日金曜朝出発にしました。初日(土曜)に~五色ヶ原、翌日薬師峠まで(長い)月曜に下山で帰る。相変わらず地味だけど良かったら同行歓迎です!今回私は「初のツェルト3泊」に挑戦しますが同行者はテントでも小屋でも可。金曜夜出発の人は現地二泊三日。いかがですか?

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