2016秋 矢筈源流熊谷(甲ヶ山ダイレクトスラブルート)

紅葉のバリエーション三部作の第二弾,矢筈源流甲ヶ山ダイレクトスラブルートに向かった。昭和40年代。学生運動の過激派は,山に潜伏し軍事訓練を行なっていた。そんな時代の最中,甲ヶ山の直下でガスボンベなどが見つかり,生活している痕跡が発見される。鳥取県警察は,この周辺に過激派のアジトがあると見当をつけ,山狩りの計画を立てる。その時に,招集されたのが,周辺の山域に詳しいクライマー,若き日の代表Sであった。その時に進んだルートがこれであり,初登の代表Sが名をつけた。この話は大変に興味深い。この先の話を知りたい方は,入会申込書持参の上,代表より,直接お聞きになると良いかと思う。
矢筈源流F1

日時:2016年10月24日(月)
行先:矢筈源流~甲ヶ山
メンバー:Mr,Oe,Ad,Ud,Mk
④行動記録:大父P(6:30)→矢筈川入渓(7:00)→熊滝(8:00)→F1連瀑通過(09:00)→スラブ連瀑通過(11:00)→甲ヶ山(12:00)→船上山東坂登山口(14:00)
 行動概況:
車で行けるところまで行き,すぐに入渓する。下山後に気がついたが,調子に乗って上がりタイヤがパンクした。Adが専門職で,5分位でタイヤ交換してくれた。人それぞれに道ありである。山行を重ねるにつけ,素晴らしい人間性を発見し,メンバーとの絆が深まって行くことを実感する。踏み跡を辿り,また,入渓を繰り返しながら,熊滝に到着する。白く細く,音も立てずに流れる一条の滝に見とれながら,少し休憩をとる。ゴツゴツとした大きな岩を乗り越えFに到着する。ここはたっぷり濡れた。滝壺に浸かった者もあり,山頂まで寒さが付きまとった。そのまま進めば熊谷は終了。だが,ダイレクトスラブルートはここからが違う。甲山に向かうスラブを直登する。私はここが大好きできっとメンバーも喜んでくれるに違いないと思っていた。初心者のUdは数々のトレランの大会に出場する選手だが,高度感に負け登れない。しっかり歩くことは,体力と比例しないことを実証した。Mrがアンザイレンし,安全を確保しながら山頂まで進んだ。このスラブは,下部で降りれば足も効いて降りれるが,上部に行けば行くほど悪くなり危険性が増す。最後の藪漕ぎは,ルート取りもよく,秋枯れしていたせいもあり,すんなり抜けることができた。天空のトラバースをしながら,色づく山を眺める。一切のタブーを排してでも眺めたい景色がここにあった。
矢筈源流スラブルート
山頂でパトロール中のMyと出会い,一緒に行ったこのルートを懐かしんだ。沢靴からトレランシューズに履き替え,Udと船上山まで競争した。道中,彼に話しかけた。「もし,弱い者は連れて行かないという風土がこの会にあれば,私は未だにどこにも行けなかっただろう。ただ,弱いという自覚と準備は必要だ。一緒に強くなろう」と語りかけた。彼は気持ちよく「ハイ!」と返事をしてくれた。そして「お先に行きます」とかっこよくセリフを残し,私を置いて走り出したかと思ったら,仰向けに滑っ転んだ。やはり,しっかり歩く必要性をヒシと感じた。競争は彼の勝ちで,10分後に私が到着し,負けといてやった。そういうことで,紅葉のバリエーション三部作第二弾は無事に終わり,第三弾はしっかり步く訓練をするために,矢筈谷・小矢筈登攀調査に行き先が決まった。

記録寄稿:Mk

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